『エロゲーとわたし』連載第一回

 2000年3月13日。
 さて、前回は何を書いたっけ、と思うほどに間が空いてしまった。

 前回ここに載った文章を書いたのは確か1999年の3月くらいだったと思う。
 結局色々あってHPに掲載されたのは1999年の末だった。
 その間に僕は「ドライブ・ミー・クレイジー!!」のシナリオを書いた。

 余り大きな声で言える事では無いが、正直言って余り売れなかった。
 色々原因はあるが、とにかく売れなかった。

大学時代からの友人がインターネットで捜してダウンして来てくれた感想を読ませて貰った。
 僅か3つしかなかった。
 それしか無かったんだよ。と哀れむような目をしながら友人は言った。
 売れ行きからいっても仕方のない事だ。
 2つは凡庸、見るべき所無しとこきおろし。
 一つは誉めてあった。
 金を払った人間は何を言ってもいいのだ。貶そうがくさそうがいいのだ。
 僕だってゲームを買ってやったら、その権利を行使する、当然の事だ。

 誉めてあるのだけ覚えて生きていくことにした。
 そうでなかったら前に進めない。
 だが忘れる事なんか出来ないのも解っている。
 忘れた振りをするだけだ。

 そんなわけでHPに掲載された時。
 自分がシナリオを書いた作品として「ドライブ・ミー・クレイジー!!」を付け加えた。
 誰がなんと言おうと僕は「ドライブ・ミー・クレイジー!!」のシナリオが好きだ。
 書いた人間すら好きでなかったらシナリオが可哀想だと思う。

 今更なんだが、僕はエロゲーのシナリオライターである。
 そして殆どエロゲーかギャルゲーしかプレイしないユーザーでもある。
 PS2は初回のラインナップにギャルゲーが無いので買わなかった。
 エロゲーなら月に5本以上。ギャルゲーも(発売されれば)月2本以上買う。
 エロゲーを一週間に5本買った事もある。
 今年になってからも4本買った週があった。
 FFもドラクエもやらない。FFを見て思うのは、これだけの技術があれば3Dでもエロゲーが出来るよな、と言う事くらいである。

 我ながら馬鹿である。エロゲー魔道に墜ちていると言ってもいい。

 絵が描ける訳でも、人を差配する能力が在るわけでも無い僕は入社してからシナリオとバグチェックだけをさせて貰っている。
 有難い事だ。
 たまーに権力が欲しいな、とも思うが、権力には金が入ってくる反面、煩わしさもあるのだろう、と思う。自分は其れに耐えられる自信が無い。
 この辺が駄目な所だと言う自覚はあるが、適性の無い物をやっても仕方が無いとも思う。
その辺が友人どもに人生逃げていると言われる理由でもあろう。
 だからディレクターまでやる他社のシナリオライターのインタビューなど読むと、凄いなぁと思う。
凄いなぁと言う中には当然、嫉妬も混じっている。苦労を回避してる癖に嫉妬しているのだから我ながら困ったものだ。
 みんな頭良さそうだな、と思う。自分はガキだと思い知らされる。
 単に、自己嫌悪にひたるのが好きなのかもしれない。

 僕は他社のエロゲーシナリオライターが、どういう風に仕事をしているのか良く知らない。
コレを読んでいる一般ユーザーの方々もそうだろう。
 その中には、左様言う事に興味がある人もいるだろう。
 もしかしたらエロゲーのシナリオライターに成りたい、などど思っている人もいるかもしれない。
 そんな訳で、僕がどんな仕事をしているのか、又はしてきたかを書いていこうと思う。
 どうしてエロゲーシナリオライターになったかも書く予定だ。

 勿論、他社のシナリオライターと全然違うかも知れない。
 だから、僕がこれから書く事で全てのエロゲーシナリオライターの生態が理解できるようになる訳では無いだろう。
 だが参考程度には成るかも知れない。

 ちなみに、今まで参加してきたゲームで僕がやった役割を列挙してみる。

「犬」 原案・シナリオ・字コンテ(一部絵コンテ)・音楽指定
「学園ソドム」 バグチェック
「堕落の国のアンジー」 バグチェック班長
「スーパーエレクト大戦SEX」 原案参加・シナリオ・字コンテ
「SEX2」 シナリオ・字コンテ(一部絵コンテ)
「輪恥」 原案・シナリオ・字コンテ・音楽指定
「マジカルジャム」 必殺技HELP及び怪人HELP提供
「女郎蜘蛛」 原案参加・シナリオ・絵コンテ・音楽指定・イメージソング作詞
「生足クラブ5×5」 出題提供(10〜20問ほど)
「SEEK2」 シナリオ補(調教シーンのみ)
「学園ソドム2」 (現時点進行中)原案参加・シナリオ・共同絵コンテ・音楽指定
「MAID・iN・HEAVEN」 原案脚色・シナリオ
「ドライブ・ミー・クレイジー!!」 共同原案・シナリオ・字コンテ・CDドラマシナリオ・音楽指定
「ハーレム・レーサー」 バグチェック
「女の子どうし」 バグチェック
「MAID・iN・HEAVEN 生乳版」 追加シナリオ・「メイドさんぱやぱや」作詞・作曲
「絶滅キング」 バグチェック

 現在は新作のシナリオを進行中。

 音楽指定と言うのは、こんなイメージの音楽を作ってくださいと外注の人に発注する役目である。曲数等はディレクターが指定する。

 シナリオを書いたゲームでは、当然バグチェックにも参加はしているが、修正作業に追われる比重が高い為、バグチェックとは書かなかった。
 バグチェックと書いた作品でも3日間程しか参加していないものもある。

 「チェリージャム」「Nails」「生足クラブ5×5」等のJAM作品、及び「LAST CHILD」では最終段階の通しプレイだけをした。

 次回からは、一つ一つの作品について、どんな風に作業をしていったか、なるべく詳しく書いてみようかと思っているが、どうなる事やら。

 一つ言えるのは、エロゲーシナリオライターなんてなるものじゃないね。ということ。
儲からないし、栄光も無いだろう。
 僕は、この職業が好きだけどね。なぜ好きかも結局は書くだろう。

 では、なるべく近い内に、また書くので、その時は宜しくお願いします。

BY ストーンヘッズシナリオライター まるちゃん改め丸谷秀人でした。

PS:
次回は、どうして僕が前の会社を辞めさせられ、ストーンヘッズに入社したか、そこん所から書く予定。

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