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● 『仏蘭西少女開発回想録』 第11回

みなさまこんにちは。
ストーンヘッズディレクターの三ツ矢新です。

先日、丸谷先生と一緒に『仏蘭西少女』絡みのインタビューを受けました。
取材は久しぶりだったので始めはちょっと緊張しましたが、
気がつけば3時間越えのロングラン。

ぐったりする僕の隣で、一番喋ってた丸谷先生はケロリとした表情。
相変わらずパワフルです、この先生。

……と言うわけで、さっそく今週も行ってみたいと思います。

<『仏蘭西少女開発回想録』第11回 2008.3〜2008.05>

雑誌に取り上げてもらったり、夏コミに出ることにしたりと、
対外的な露出の手を打ってきたのは前回(第10回)書いた通りですが、
当然中身が無いと始まらない。

というわけで、今回は前回と同じような時期に同時進行で行っていた
開発の中身の話をしたいと思います。

一通りシナリオを読み終わった後に残った感想は、
「絵が足りない!」
ということでした。

基本的に2008年の前半、僕がシナリオを読みこんでいた段階では、
イベントCGにせよ、背景CGにせよ、
ともかくシナリオ量に対して絵の枚数が少なかった。
こんなんじゃ、しょっちゅう真黒か、使い回しの絵ばっかりのゲームになっちゃうよ!
という感じでした。

そんな中で特に足りないものと言えば、
「幻想的なイメージCG」
でした。

まず少女の居る建物からして怪しい。
貴族の屋敷を改造して真中に禍々しい塔のような建造物が立っていて、
その周りは金属質で捩れた架空の赤い草が生えている……

さらにこのゲームの主人公の政重くんは、よく夢やら幻覚を見るんですね。
夢やら幻覚やら見ること自体は別にいいんです。
その手のシーンの文章は、読んでみると確かに雰囲気は出てる。
出てるんだけど……
じゃあ、その時の画面は? となると、
当時サーバーにあったのは何枚かのイメージカットくらい。


このままだと大半のシーンが黒か普通の背景か?
う〜ん……
これが嫌な予感というんでしょうか、胃の辺りにじんわりとした感触が広がります。

この嫌な感じを払拭するには、絵の描ける人を探すしかないんですが、
こういう抽象的・幻想的なカットを描ける人というのは、
普通に綺麗な背景を描ける人を探すより難しいケースもあります。

写実的に仕上げるにはある程度テクニックや経験、理屈で何とかなる部分もあるんですが、
(少なくとも資料を丁寧に探せば正解は明確になる)
抽象的・幻想的なカットは、その人個人のセンスに寄る部分も大きいですからね。

『仏蘭西少女』の奇妙な世界観をカタチにできるセンス……
真っ先に僕の頭に浮かんだのは、
『SEXFRIEND』以降、継続的にストーンヘッズ作品の背景を描いてもらっていた吉田誠治さんでした。

僕が吉田さんの絵を初めて見たのは、
確か『仏蘭西少女』の企画が出来るかできないか、の頃の2002年くらいだったと思います。

2002年当時は、吉田さんとストーンヘッズはまだ接点が無かったのですが、
『PureGirl』という雑誌のピンナップに
「逆さまになったノートルダム寺院っぽい建物の上に立つ女の子」
という文字で説明しづらい吉田さん作の絵が掲載されていまして、
大変衝撃を受けたものでした。

今回はその絵を、吉田さんに許可をいただいて転載してみます。
こんな絵です。



……いかがでしょう。
あの織田桐邸の中央に聳え立つ奇怪な塔を描いてもらえそうな感じがしませんか?

もちろん他のサンプルや仕事を見ての総合的な判断ではありますが、
吉田さんの絵を見れば見るほど、『仏蘭西少女』で絵を描いてもらわなければならない、
という気持ちが強くなる一方でした。

吉田さんにはまず手始めに、このゲームのキーとなる建物と植物、
「織田桐邸と赤い草」
を描いてもらうことにしました。

それで上がってきたのがこれらの絵です。


「あ、いける……」
漠然としたイメージが形(絵)となって現れたことにより、
最初に感じていた嫌な感じは少しだけ消えていました。

でもまだまだ足りません。
特に赤い草や織田桐邸などの形のはっきりした、有形のモノ以外の、
形がはっきりしない、抽象的なイメージを持ったグラフィック……

例を挙げると、
  • 朝霧に沈みお屋敷町が変じて水没したお屋敷町になる
  • 寝起きの政重が見るきらめく空間
  • 悪鬼のごとく跳躍する執事
  • 悪夢に出てくるような姿で、蔡子才が悪漢どもを虐殺していく
  • 闇を切り取ったような色の羽毛をもつ人面に似た顔の鳥

こういう絵をどうやって、誰が表現するか、という部分が頭の痛い問題でした。

ある日、そういうことを打ち合わせの際に丸谷先生にこぼしてみると、
「駄目だと思うけど、そういうシーンなら大石さんかなあ」
「大石さん? どちらの?」
「インガノックの」
「ああ!」

これが『仏蘭西少女』の開発の中で、大石竜子さんの名前が初めて出た瞬間でした。

<続く>


『仏蘭西少女』の開発に関して聞いてみたいことがあれば、
下記のメールアドレスまでメールして下さい。

france_info@franceshojo.com

2010/06/25

● 丸谷秀人のつぶやき千里・第29回

デケデンデンデケデケデンデケデンデン。
どうもこんにちは。
ストーンヘッズディレクターの三ツ矢新です。

今回のStaffRoomは丸谷先生の回なんですが、
コラムではなく時代劇小説です。

なぜ唐突に時代劇かと申しますと、
あれは6月の上旬でしたか、
とある酒席で、宴もたけなわになった頃、
ほろ酔い加減の金山会長が戯れに発した
「チミチミ、次の原稿は時代劇でヒトツ」
の一言で実現した、丸谷ワールドの新世界であります。

読んでみるとこれがなかなか新鮮な趣が。
勢い勇んで金山会長に報告すると、

「なんで突然時代劇?」
「いやいや会長お人が悪い」
「え、ワシ何か言ったか?」
「…………」

……ともかく、こうした次第で掲載の運びとなりました。

それではどうぞ、お楽しみ下さい。
『七両也』

 荒川沿いの捨宮と言えば、江戸の内でも特に良い筍が採れる事で名高い所で有った。
 夜ともなれば人の気配は絶え寂しい所で有ったが、その夜は珍しく若い武士の姿があった。
 提灯一つを供に先を急ぐ若い武士は、良い拵えの身形をしている。
 近頃は大名家も皆財政逼迫の折、武士より町人どもの方が良いなりをしている時勢であったが、例外に属するらしい。
 と、
「三河一之信」
 不意に掛けられた妙に甲高い声に、若い武士が思わず足を止め振り返ると、満月に照らされ、ぼう、と浮かび上がった竹林から、ぬ、と影が滲み出した。
 影は、着流しを着た小柄な男。二本差しからして浪人か。
「私は神和千之丞、人違いでは」
「三河一之信だナ」
 小柄な男は、猫の如き静かな足取りで近づきつつ妙に甲高い声で繰り返す。
 問いでは無く確認。
「何奴」
 若い武士の喉から警戒に尖った声が漏れる。
 影は月光に煌々と照らされた道へ踏み出す。
 中年も近いくたびれた顔貌と黒い着流しのだらしなさとみすぼらしさが露わになった。
 はだけた胸元から白髪交じりの貧相な胸毛まで覗く。
 折からの風で、ざざ、と竹林が鳴り渡る。
 小柄な男は、腰に差した刀の柄に右手を掛ける。
「おのれ」
 若い男も腰に手を遣り、手練の素早さで正眼に構える。
 身形に相応しく刀も中々の業物。満月を吸って濡れ輝く。
「血を吸った色だナ」
 小柄な男は満足気に呟くと、右手のみで得物を持ち上段に高々と構えた。
 風は止み。
 青白い光の中、対峙する男達。
 正眼と上段。
 一触即発。
 と、
 若い男の顔に戸惑いが浮かぶ。
 小柄な男の得物は、満月の光を浴びて僅かに光るのみ。
 金属の光り方では無い。竹光でももう少しは光る。ならば−−木刀か。
「何の積もりだ」
 問いに答えは無い。
 小柄な男は無造作に踏み込んで来ると、そのまま木刀を振り下ろした。
 若い男の喉から裂帛の気合いが迸った。
 鋼の光が奔る。
 少々虚を突かれたと言え、鋼と木。
 鋼は木を両断し、そのまま小柄な男の首筋へ。

 どう、と肉が地面に倒れ伏す音が響く。

 脳天に木刀を喰らった若い男は刀の勢いそのまま、前のめりに倒れた。
 鋼は木も相手も掠めず、虚しく空を斬っただけだった。

 小柄な男は、暫し、つまらぬ物を見る目付きで若い男を見下ろしていた。
 そして主の手から離れた刀を足蹴にして邪険に遠ざけると、木刀を納め脇差しを抜き、転がっている若い男の右手のひらの中央へ突き刺してこじった。
 びちり、と腱が切断される音が鳴る。
「!」
 声にならない悲鳴をあげかけた口を脳天を蹴り飛ばす事で黙らせ、手のひらから脇差しを引き抜き、若い男の右足首の腱を手際よく切断。
「あ、がぁ、がぁがぁ」
 獣の咆哮をあげのたうち廻る若い男を尻目に、小柄な男は立ち去った。

 二日後昼。
 荒川の川辺に釣り糸を垂れる小柄な男の姿があった。
「泊利の旦那。また、ここでしたかい」
 腰に十手を差した赤ら顔の男に話し掛けられても、問いに答えは無い。
 十手持ちは、気分を害した様子もなく隣に座った。
 かなりの大柄で、並んで座ると、小柄な男の体は一層貧相に見えた。
「釣れますかい?」
 魚籠を見れば何も入っていないのだから聞くまでもない。
「ま、釣れなくても買えばいいわけですがね」
 十手持ちは暫し釣り竿の先を見ていたが、ぴくり、とも反応が無い。
「場所が悪ぃんじゃないですかい?」
 答えは無い。
 十手持ちは懐から瓦版を取り出して小柄な男の前に広げた。

 そこには、昨日、荒川沿いの捨宮で、上州前峰藩の立脇吉野丞と長女みつが、父立脇吉三郎の仇、三河一之信を見事討ち果たし本懐を遂げた事。
 一之信は、勘定方の地位を良い事に数年に渡って藩の公金を着服、昨年それを見つけ咎めた吉三郎を惨殺、着服した大枚を懐に出奔した事が記されていた。
 
「ここには見事とか書いてありやすが真っ赤な嘘。あの姉弟、腕の方はからきしで、利き手と利き足が潰してある仇相手にさんざ手こずって、見てて肝を冷やしましたぜ……ありゃ旦那がいなきゃ返り討ちにされたのが関の山。実はあの姉弟、惣兵衛の旦那に十両は高い五両にしろとさんざんごねて、なら三両で利き足だけ、と言われてしぶしぶ十両払った癖にだらしねぇったらありゃあしねぇ」
 十手持ちの長広舌にも小柄な男は何の反応も示さず、ただ釣り糸を垂らし続ける。
 相変わらず釣り竿の先に反応は無い。
「そんなわけで約束のです。お確かめくだせい」
 小柄な男は、金子を一瞥すらせず受け取り、八両ばかりの内から一両抜き取って十手持ちの前へ放ると、残りを懐へ納めた。
「へ。ありがて」
 十手持ちは金子を素早く拾って懐へ納めると、立ち上がった。
「じゃ、あっしはこれで」
 
 陽はみるみると傾き夕刻になった。
 まだ小柄な男は釣り糸を垂れていた。相変わらず釣れない。
 陽が完全に没し川面がほとんど見えなくなると、男は漸く諦めたらしく立ち上がり呟いた。
 
「人を斬るのはなんと容易い事か」

2010/06/18

● 『仏蘭西少女開発回想録』 第10回

みなさまこんにちは。
ストーンヘッズディレクターの三ツ矢新です。

ようやくこの『仏蘭西少女開発回想録』も、
いわゆる紆余曲折の部分を抜けて完成に向けての時期にさしかかります。
もうこの時点で企画が出来てから7年くらい経ってるんですね。

前の回までに書き忘れましたが、第7回〜第8回の時期辺りで
1回専門誌に第一報が載って『仏蘭西少女』は周知の企画となってました。

『SweetHome』とか他の企画やってるときも、
「ところで『仏蘭西少女』の方は〜」などと、業界関係者様やユーザー様から
尋ねられて返答に困ったものです。

と言うわけで、さっそく今週も行ってみましょう。
今回は第10回です。

<『仏蘭西少女開発回想録』第10回 2008.3〜2008.5>

2007年末から2008年初頭にかけて、
『仏蘭西少女』の具体的なフィニッシュに向けての
さまざまなデータを集めているさなか、
CODEPINKの企画・原画担当のキリヤマ太一(以下キリヤマ隊長)が
前年リリースした『SweetHome』に続く新企画を持ってきました。


※このカットと本文は、それほど関係ありません。
「ちょっとたくさんの人数でヤってるやつやりたいんだよね」

キリヤマ隊長の主張はだいたいこんな感じでした。
これが後の『皇涼子のBitchな1日』です。

何回か打ち合わせを重ね、
最終的にイメージするイベント絵を1〜2枚描いてもらうと、
これがまたエロい。

初メイン原画の『Maid In Heaven』以降、
年を追うごとにムッチリ感に磨きがかかってる感じで、
当初の予定よりヒロインの年齢が高くなっていたのが気になるものの、
やはり何か下半身辺りにこみ上げてくるものがありました。

……と同時に、この『Maid In Heaven(1998)』の翌年くらいに
『仏蘭西少女』の最初の話があったことを思い出し、
また別の意味での感慨も湧いてきたものでした。

「そうそう。僕にはこの難物『仏蘭西少女』もあるからな〜」
キリヤマ隊長の新作は、僕も楽しみな企画だったんですが、
いかんせん目の前にある山が高すぎます。

この時期には『仏蘭西少女』完成に向けた、イメージはある程度描くことは出来ていたのですが、
これまでの経緯や、キャリアのあった知人たちが出来なかったことを考えると、

「机上の計算では出来るかもしれないけど、
 そんなこと、今まで係わった人がやってないとでも思ってるのか?
 もっと他に何かあるんじゃないか、
 いつ何が起こっても不思議じゃないぞ……」

という、言い知れない不安が常に付きまとっていました。

それを払拭するために、
この時期の僕は、内外に向けて前向きな言葉を連発していたのですが、
さすがに二本同時に面倒を見るとなると及び腰になります。

そんなわけで、
このCODEPINKの新作の具体的なスケジュールを決めかねていると、
それを見透かしたように、軽井沢の金山会長からメールが来ます。

「同時進行で」

マジすか!

だがしかし、ここで弱音を吐こうモノなら、
これまでせっかく上げてきたテンションも下がってしまう!
イコール、『仏蘭西少女』が完成できなくなる!
イコール、『仏蘭西少女』は永遠に出なくなる!
考えるな感じろ! GOだGO!
ゴーゴーゴー!! ヒロミ! ゴー!

……というわけで、開発室のPIL、CODEPINK二刀流が決まりました。

二刀流はキツいはキツいんですが、
決まってしまえば、開き直りににも似た妙な高揚感があるもので、
どうせなら派手に告知してしまえ!
ということで、2008年7月号の『TECH GIAN』誌上で、
どどーんと特集記事を載せてもらうことにしました。

そのページなんと14ページ!
僕の開発人生の中でこんなに大きく扱ってもらった記憶は、これ以外ありません。
さぁこうなるともう後戻りできねーぞ、ウフフフフフ。

さらに、販促的な意味合いも兼ねて、この年の夏コミの企業ブース出展も決めます。
目玉は『仏蘭西少女』のデモムービーのお披露目です。
ただでさえ2タイトル同時開発忙しくなるのに! さらに夏コミまで!
アハハハハハ!

色々なことが決まるたびに、新たに湧いてくる不安をカラ元気で吹き飛ばす、
そんな時期でした。

<続く>

『仏蘭西少女』の開発に関して聞いてみたいことがあれば、
下記のメールアドレスまでメールして下さい。

france_info@franceshojo.com

2010/06/11

● 『仏蘭西少女開発回想録』 第9回

みなさまこんにちは。
ストーンヘッズディレクターの三ツ矢新です。

だんだん前フリのネタに困って来ました。
困るくらいなら書かない!
……と言うわけで、さっそく今週も行ってみたいと思います。

<『仏蘭西少女開発回想録』第9回 2007.12〜2008.02>

金山会長から「本命は『仏蘭西少女』だから」と言われて半年、
僕は『仏蘭西少女』のことは取りあえず頭から消して、
『SweetHome』をマスターアップしました。

そして2007年12月、ようやく次は『仏蘭西少女』ということで、
まず僕は完成させる地図を描くために、
社内サーバーで埃を被っていた資料を眺めました。

そしてこの資料がかなりの難物でした。
荒縄さんが亡くなった後、
僕が手をつけるまでに仏蘭西少女担当ディレクターが2〜3人ほどいましたので、
資料も1つの意思を持って揃えられたわけではないし、
2007年当時のエロゲスタンダードから量やクォリティ的にそぐわなくなってしまったものは
新たに作り直したり追加したりする必要があります。
(注1)


※このカットと本文は、それほど関係ありません。
それらの資料や素材を、これから完成に向けて必要なものと、
無視するべきものに選り分ける作業をするわけですが、
これがまあ、10年分、6MB超のシナリオボリュームの資料ですから、なにせ量が多い。
この「量」の多さは、この後もずっと悩ませられることになります。

資料をサーバーから発掘し、内容を把握し、
次に行うことは、これまで『仏蘭西少女』の開発に係わった関係者との面談です。

コンタクトの取れるスタッフと出来る限り面談して、
(当時すでに『仏蘭西少女』から離れて別の仕事をしている人も含まれます)
その人がどの資料に関係しているのか、どういう経緯・意図でこの資料を作ったのか、
を聞き出し、資料を選り分ける判断基準にするわけです。

きっと「消えた年金」の追跡調査をする人はこんな気持ちに違いない……
と思いながら作業したものです。

そして明けて2008年。
現状と、これからするべきことを大雑把に把握した僕は、
いよいよ6MB超のシナリオを読む作業に入ることになります。

シナリオを読まないことには、
イベントCGや背景、立ち絵等のリソース(素材)が、
本当に今手元にあるリストにあるもので十分なのかどうか分かりませんからね。

ここでもまた量に悩まされます。
例えば1日ライトノベル1冊分くらい読んだとしましょう。

ライトノベルのテキスト量がだいたい1冊あたり250KB〜350KBが相場なので、
6MB超のシナリオ、というのは20冊分くらいの量ですね。

そうすると、20日で終わる計算になるんですが、
その1冊のライトノベルに「どの素材を使って、どう演出するか」
を資料と付きあわせながら読み進めないといけないので、
実際には1日1冊分、というわけにはいきません。
(注2)

色々と他の細かい業務をこなしながら、2〜3ヶ月くらいかけたと思います。

余談ですが「ゲームを作る」というのは、絵を描く、シナリオを書く、スクリプトを打つ、
等のような実務のほかに「開発環境を維持する」という部分も大きなウェイトを占めます。
この辺りの仕事は、カタチになって現れないので、なかなか外からイメージしにくいのですが、
カタチのあるモノを作るのと同じくらい面倒で労力がかかるんですね。
(僕もこの仕事に慣れるまで「ディレクターが具体的に何をやっているのか」って、
 分かりませんでしたからね。一緒に仕事してても、分かるまでは時間がかかると思います)

そして、そうした気の遠くなるような読み込み作業の中。
『SweetHome』を終えたキリヤマ先生が企画を持ってきたのでした。

「キリヤマ先生、もう新作ですか早いですね!」
「だってもうマスターから3ヶ月経ってるじゃん……」

<続く>

『仏蘭西少女』の開発に関して聞いてみたいことがあれば、
下記のメールアドレスまでメールして下さい。

france_info@franceshojo.com

(注1) 関係者の証言によると、当初『仏蘭西少女』は立ちポーズ無し、イベントCG+背景のみで構成される予定だったらしい。
(注2) 多くの研究者が指摘している事だが、更にここに『仏蘭西少女』の場合、市販されている大部分のゲームより複雑な分岐の把握という作業が加わり、それが素読をより困難にしている。

脚注by 仏蘭西少女記録委員会(STONEHEADS未公認団体)

2010/06/04

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