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●  丸谷秀人のつぶやき千里・第37回

 眠い。
 
 このところ締め切りにつぐ締め切りで、眠っていないのです。
 正確に言えば、眠っていないわけではないのですが、いつも座ったまま
寝ています。ああ布団が恋しいです。しかも電気が切れたようにいつのま
にか眠っているのでちっとも楽しくありません。目覚めも最悪で、いつも
目を開けるのがおっくうです。
 
 もちろんエロゲーもしていません。あーエロゲーやりてー。正直、元気
がありません。きっと今なら尻子玉だって簡単に抜かれてしまうことでし
ょう。すぽん。きっと尻子玉も寝不足で血走っているに違いない。エロゲ
ーはやりたいけれど、きっと今は締め切りが終わって何もかもどうでもよ
くなったら真っ先に寝るだけです。寝るのだけが楽しみです。邪魔したら
どうなるか判らないです。
 
 でも面白くないのは、あきらなな寝不足で朦朧としているのに幻覚の類
を全く見ないことです。ふらふらなのに。大名行列が部屋の隅を行進して
いたり、今は亡き大事な人達が部屋の隅で座布団に座って僕を見ていたり、
木魚をもったお坊さんが布団の上で踊っていたりもしてくれないのです。
そんな風に頭の作用が少し変な感じになって欲しいのです、今なら幻覚見
放題な感じなのに。二次元美少女が空中に浮かんでいたりしないもんかね。
もちろんしません。あーつまらない。日本製のホラー映画のように、日常
から少しずれた風景が見えるという類の恐怖体験です。するかな、と思っ
ているけどしていません。考えて見ればしたくもないです。とにかく今は
締め切りです。藤子不二雄Fの漫画のように未来の僕がいつのまにか完成
したテキスト書いて送ってくれないだろうかと思うけど、考えて見れば僕
にそんなサービス精神があるわけないので考えるだけ無駄です。
 
 メシと風呂とトイレ以外の時はいつも机の前に座っています。正直飽き
飽きですが、飽きたからと言って解放されるわけでもないのです。とにか
く最後まで走らなければなりません。仕事仕事仕事。風呂に入っていると
そのまま眠くなるので、いくら風呂が冷えていても沸かし直しながら入る
ときっと今なら肉シチューのできあがりとなるでしょう。かといって布団
に一瞬でも入ると、気づけば半日経っているほど泥のように眠る予感がす
るので、横になること自体が危険なのです。この前はメシを食っている最
中不意に眠ってしまっておつけをこぼして大惨事になりました。なぜか後
始末をしている時は目が覚めていて、ああ、これだけ目が覚めていれば仕
事がはかどるだろうと思っていたら、食い終わって机の前について途端に
すごい眠気が襲ってきました。とにかくいつでも戦っています眠気と。
 
 地震の時はもう三日寝てなくてちょうどスィーツが食いたくなってちょ
っと外出したら地下鉄の駅の構内で遭遇しました。いつまで経っても地下
鉄が動かないので歩いて帰りました。いつもは交通機関で帰ったり移動し
たりする人達が全員地上にあふれかえっていたので人がいっぱいでした。
帰ったら部屋は滅茶苦茶で三ツ矢氏に先週話した通り扉を開けるのすら困
難でした。部屋に入れるまでだって一時間はかかりました。そして仕事が
出来るようになるのに深夜の五時までかかりました。っていうか朝じゃん
それ。近所では牛乳と卵とクラッカーと乾電池が見事に消えました。今で
も全く恢復していません。正直、今日って何月何日でしたっけ、覚えてい
るのは仕事の締め切りだけです。めきめき言ってます。曜日だってあやふ
やです。いつも同じですから。いつのまにか日曜日になっていてびっくり
しました。ああ、こうやって書いている間も眠いです。
 
 この頃、いつでも気づけば窓の外が明るくなっています。午前か午後か
も判らなくなる時があります。今日これを書いているけどちゃんと更新日
に間に合うんだろうか。本当はとっくに締め切りを過ぎているんじゃなか
ろうか。この前は家から夕方の散歩だと思ってでかけたら実は朝でしたと
いうことがありました。なぜ判ったかと言えば、気づいたらベンチに座っ
たまま眠っていて辺りが明るくなっていたからです。正直、夕方と朝は暗
くなるか明るくなるかの違いでほとんど違いがありません。家の周りは妙
に静かです。
 
 仕事が進行形なのでパソコンは始終立ち上がっていますが、暖房をつけ
ていないのできっと電気的には大丈夫でしょう。別にこれは節電のためで
はなく頭の辺りがあったかくなると、即、睡眠へ突入してしまうからなの
です。実は映画の券も二枚買ってあるんだけど、いけるかなぁ、いけない
んじゃないかなぁ。絶対に行けない。あー、もうとにかく書いている今も
胸がむかむかするし頭の芯がじんわりと痛いほど眠くて気持ち悪いです。
もはや眠気覚ましの錠剤の類は全く効かなくなりました。しょうがないん
で自分をつねったり叩いたりしています。このまえやり過ぎて血が出て服
に日の丸のような血痕が出来ました。あまりの寒さに服をもこもこに着こ
んで、更に膝掛けを四重にして、貼るタイプのカイロをべたべたあちこち
貼ってあるので、立ち上がるのがおっくうです。きっとそのうち低温火傷
になるに違いないです。余程疲れているのか椅子に座ったまま寝ていたこ
とに気づいて目を醒ますと、いつも目が目やにでくっついています。睫の
形に目やにがつきます。もう嫌。本当に嫌。
 
 眠い。

2011/03/25

●  いつものやりとり(?)

みなさまこんにちは。
ストーンヘッズディレクターの三ツ矢新です。

ただ今節電下の東京は中目黒の深夜にこの原稿を書いてます。
暖房つけてないので寒いです。
寒いですが無事です。

マスターアップ直後で気が緩んだところに、この騒ぎ、
幸い、事務所は物置ラックが一つ壊れたくらいで、
スタッフ各位の人的被害はありませんでした。

……が、安心する間もなく、新たな不安が脳裏をよぎります。

「丸谷先生は……っ!」

――丸谷先生の部屋というのは、
誰も足を踏み入れたことをが無いものの、
四方を本棚で囲まれ、溢れた本が横積みになってさらに部屋を囲み、
辛うじてドアから万年床の敷布団までのスペースが空いており、
しかもその敷布団の上にも雑然と本とエロゲーの空き箱が積み重なって、
残った敷布団をぼんやり眺めてみると、
おやおやぽっかり人型を成している――という噂なのです。

震源地から離れた東京ではありますが、
僕が東京に来て12年で一番の揺れでしたので、
「こいつはてぇへんだ」
ということで早速丸谷先生のお宅へ連絡を取りました。

結論から言うと、丸谷先生無事でした。
厳密に言うと無事でしたがそれどころではありませんでした。

もう少し詳しく説明しますと、
地震のあったその瞬間は部屋におらず体は無事だったけど、
部屋は想像通り酷い有様で、
崩れた本がつっかえてドアが開かず、
そもそも部屋に入るまでが一苦労。
ようやく部屋に入ってみれば、どこから手をつけて良いのか分からない。

それでも何とか仕事が出来るくらいに復旧したが、
今度はその仕事をする時間が迫って来ている。

「要するに締め切り追われているんだよ、三ツ矢クン」

丸谷先生の語尾に、哀願にも似た一種の媚びのような気色が帯びます。

「ははあ」

そこは長い付き合いですから、
阿吽の呼吸で丸谷先生の要求することは分かります。
慣れたもので僕はすかさず、

「先生も色々と大変でしょうが、弊社のコラムもれっきとしたお仕事ですし、
 何も昨日今日決まった事ではないので、
 そこは一つよろしくお願いしますよゲショゲショ」

と先手を打つと、それを受けて丸谷先生は

「それはそうと、奇跡というものはあるものだね三ツ矢クン」
「はあ」
「いやなに、ボクが一番愛着のあったフィギュアなんだがね。
 いつでも見られるように一番の特等席に置いてあったんだが、
 これがいかにも不安定な場所にあって、
 ボクは歩いて家に帰る途中半ば諦めていたんだよ。
 話は変わるが、さすがに○○から家まで歩くというのは難儀だったよ。
 いやはや最近運動不足で困ったねどうも」
「先生、フィギュアはどうなったんですか?」
「ああそうそう。ところが家に帰って部屋を片してみるとだ、
 転がり落ちたフィギュアが最近使い始めた低反発素材の座布団の上に落ち、
 さらに貯めてあった新聞記事が……いや、ボクは前々からこれはと思った
 新聞記事を貯めておく癖があったんだな。
 それが結構な量で、まあいつかは捨てなきゃいかん捨てなきゃいかんと
 思ってはいるんだがこれがなかなか……」
「先生、フィギュア」
「おお、そうだそうだ。ちょうどその新聞紙が、だ。
 フィギュアを包み込むようにして落ちてきたんだね。
 こう、ふわっと、折り重なるようにして。
 部屋の本をどけていって、それを見たとき、
 まあ、所詮偶然のいたずらなんだろうが、
 思わず奇跡というものを信じてみたくなったよ」
「それはなにより」
「……というわけで、今週のコラムの方、よろしく頼むよ」
「えっ」

ガチャン。

……と、長くなりましたが、
これが今回、私三ツ矢新が丸谷先生の代打を仰せつかった経緯でございました。

※注:丸谷先生との会話の日時、内容は多分にフィクションを含んでおりますが、
   ニュアンス的に近い実際の会話が基になっています。
   具体的に言うとナディアと海底二万里くらい違います。たぶん。

<おしまい>

2011/03/18

●  スクリプト

みなさんこんにちは。
ストーンヘッズディレクターの三ツ矢新です。

つい先日、姉妹ブランドPIL/SLASHの『神学校』がマスターアップしました。
スタッフロールに名前も載ってるので報告しますが、
最初の方の演出スクリプトの仕様書作るのと、
最後の方の演出スクリプト作業で、お手伝いさせてもらっています。

自分で仕様書を書いたものを、自分で使うと言うのは、
なかなか気分のいいものです。
例えるなら自分で設計したモビルスーツに乗るパイロット的な感覚。

もっとも、スクリプトは僕以外のスタッフも使うものですから、
あんまり個人的な使いやすさに特化できない部分もありますが、
それでも、
「うむうむ、構想通りの使い方が嵌っておる」
とか
「おお、予想だにしなかった動きだが、これはこれで……」
とか
「この命令にはこんな使い方もあるんだああああ」
という設計者ならではの楽しみが満載で、なかなか面白い作業でした。

当然『仏蘭西少女』の時よりも、画面上で出来ることの幅は広がっていますので、
これにさらに+αして、PILやCODEPINKの次回作に繋げられれば……
と夢も広がると言うものです。

ただ、作品ごとに演出の方向性、というものがありますから、
例えば『皇涼子のbitchな1日』で『神学校』と同じ演出・命令を使っても、
それほど効果が無い……もっと言えば素材を殺してしまう、誰得な事態にも
なりかねないので、やはり道具というものは使い様です。

素材を殺してしまう、と言えば、スクリプト作業は、
まさにそういう緊張感のある作業でもあります。

それまで長い時間をかけて、それぞれのパートの職人さん方が作ってくれた
CGやシナリオ、声や音の素材を、生かすも殺すも、
このスクリプト作業にかかっているかと思うと、
ついモニターの前で襟を正してしまう感覚になります。

それを含めても、結構ハマる作業ではあるんですが、
自分がディレクターを努める作品は、
なかなかスクリプトに手をつける時間が作れなくて、もどかしいですね。
だいたい体験版に含まれる序盤と、エンディング近辺、各ルートのヤマ場とか、
そのくらいでマスターアップを迎えてしまいます。

かなわぬ夢と知りながら、
一生に一度は全ファイルを自分ひとりでスクリプトを打ってみたい。
そう思う今日この頃です。

<おしまい>

2011/03/11

●  仕事中の密かな楽しみ

みなさまこんにちは。
ストーンヘッズディレクターの三ツ矢新です。

ディレクターの仕事内容を具体的に想像できる人は、なかなか居ませんね。
恐らく一緒に仕事をしていても、分かりにくいんじゃないでしょうか。
僕も本格的にディレクター業を始める前は、
「何となく偉そうなんだけど、この人何やってるんだろう……?」
という感じでした。

多くのディレクターは、ゲームに関わるあらゆることを
広く浅く知ってる場合がほとんどで、
これが何を意味するかというと、
手が空いていたり、開発チームに適当な人員が居ない時は、
様々な作業の穴埋め要員になりがちです。

今日は、そういう穴埋め作業時の密かな楽しみの話でもしたいと思います。

穴埋め作業は、大体がそれほど面白くない場合が多いんですが、
そこはそれ、仕事ですから。
誰かがやらないとゲームが完成しませんから。
やります。

ただ、面白くないものはやはり面白くない。
そんな時には、やはり工夫して、
めげそうな心を何とか誤魔化す必要があります。
ミシシッピー川流域の広大な綿畑で過酷な農作業を歌を歌うことで紛らわせていたように。

ただ、大体の作業が手と目は埋まってますし、
周りにスタッフもいますので、さすがにブルースを歌うわけにはいかない。
専ら妄想が主です。
さすがに上司や同僚も頭の中まで覗けませんからね。
誰に憚ることなく想像力の翼を広げることが出来ます。

で、何を考えているかというと、シモネタじゃないですよ。
いくらエロゲーディレクターといえども、
さすがに年がら年中シモネタばかり考えているわけではないです。

ただオタクではあるので、なりきりプレイまがいのことはよくします。
例えばバグ修正や、演出スクリプトの手直しなど、
いわゆるスクリプト業務をすることが多いんですが、
スクリプト業務はガンダム系の台詞が案外合います。

プログラマーが作ったゲーム開発エンジンをMS、
それを使うスクリプターをパイロットと見立てると、
気分はもうニュータイプ。

「(バグは)どこだ……キュピーン……そこかぁっ!」
「(ノルマは)まだだ、まだ終わらんよ!」
「僕がこのエンジンを一番上手くつかえるんだああああ」

……これに飽きたら次はスラムダンクです。

それでもネタに詰まったら、
疲れ果てて帰宅後、合いそうなアニメや漫画を見て、
翌日の脳内妄想のためのイメージトレーニングをします。

なんだか本末転倒なような気がしないでもないですが、
とかく地味な作業の多いゲーム開発は、
こうでもしないとなかなか続かないですね。

で、ふと気が付くと、

ゲームを作る→
ゲームを作る際の苦痛を紛らわせるためにDVDや漫画やゲームを買う→
漫画家やアニメ・ゲーム制作会社がもうかる→
新作が出来る→それに刺激を受ける→ゲームを作る

――という見事な循環システムが頭をよぎり、

「ああ、今日も社会生活に全く貢献しない一日を過ごしてしまった。
 豆腐屋さんや牛乳屋さんはエライなあ」

と思うのでした。

<おしまい>

2011/03/04

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